季節が変わり、夏のままのセッテングだと「随分と回るな~、調子がいい!」っと、思われている方もおいでになるかも?
画像はご存知ケイヒンPWKキャブレター。
tm2Tの純正採用としてtmは96年式から125から300まで同じ口径、つまりPWK38を採用。
余談
口径は同じですが、当たり前のように排気量に応じてそれぞれ専用セッテングとなっています。

また、一時、MXモデルにはPWMを採用しておりましたが、いつしかまたPWKとなって推移してきています。
このPWKとtm2Tエンジンの相性は相当良いと言える。
これだけ長い期間採用されていますから当然と言えば当然ですがPWK&tm2Tの組み合わせで感じるのが高い安定感とセッテングの容易さ。
それが競技車両として最高と言うか、何より大事な部分かな?と評価できる。ましてエンデューロ・ユースなら尚更です。
PWKが優れている?
tm以前に乗っていた外車も同じ様にデロルトからケイヒンPJ、そしてPWKに移行したが、
そちらはPWKとは思えない程に神経質、不安定そしてセッテングの難しさからPWKには当初あまり良い印象がありませんでした。
つまり、エンジンとキャブにも相性はあるようです。
余談
おかげで随分キャブレターのセッテングの勉強が出来ましたが。
しかし、tmエンジンとPWKは組み合わせると実に懐が深く、許容範囲が広くセッテングの容易なキャブ(マシン)と言う認識を持っています。
何より新車のセッテングでほぼ全くセッテングしなくともオール・シーズン過不足なく走れる懐深さはエンデューロ・マシンにとってはとても大事な要素、性能。
但し、北海道での弊社の使用での話です。
でもそれは長い時間にわたって未知の地形を走るエンデューロ・ユースには最適と言うか、必要不可欠と言える性能とも言ってよいでしょう。
正直、メーカー・セッテングにてこれほどの性能と安定感を両立しているマシンは他にあまり記憶がありません。
何より、安定している?幅広いというのか?それとも許容範囲が広いというのか?
走行中に例え不満が出てもジェット・ニードル(以下JN)のクリップ位置で対応できる場面、範囲がすごく多い。また、我々レベルならそれで過不足、不満もあまり感じない。
余談
通常はクリップ位置ではなく、JNその物を変更するのがセオリーだと思いますが、レース中と言う事で。
実際、ロマン・ミカリクが日高を走った際に途中、クリップ位置を変更していました。
余談
そう言えばロマンもミカもマシンには細かい文句は言いませんね。ミカは要求は多いがレースが始まると後は自分で何とかするってタイプ。ロマンは男は黙って仕事するってタイプでした。
現在は電子制御燃料噴射(以下Fi)となり、性能はキャブレターをしのぐ時代です。
つまり、今やキャブレター・セッテングを必要とするマシンの話など時代錯誤ですが比較的簡単に自分の好みを見つける事を可能とするのがキャブレターの魅力でもある。
Fiとて厳密にいえばマッピングなどの設定は必要となる場面もあるでしょうが専用の機械が必要なのでレース中は不可能ですしエンデューロ・マシンですから、大体があまり必要はないと思われる。
余談
但し、Fiでもキャブでも100%その時点の気温、湿度、乗り手のスロットル・ワーク、速度等に完璧に合わせる事が出来たらそれは、それは気持ちの良い世界です。
しかし、キャブレターのジェット変更は愉しくそして愉しみでもありますが、間違えると痛い出費につながります。くれぐれもご注意ください。
エンデューロ・マシンのキャブ・セッテングと言うのは「濃いめ」が原則。
それは混合比が濃いとトルク、粘りを感じますしピック・アップがマイルドになります。
つまり、エンデューロならではの未知の地形を走破しやすくなります。
半面、ガスが薄いとピック・アップが鋭くなり、軽快に回ります。
つまり、ここ一番と言う時の瞬間パワーが必要なモトクロス用と言えるでしょう。
此処で昔のお話(1980年中盤から90年初頭)
エンデューロと言う競技が日本になかった頃、当然エンデューロ・マシンの本質、特徴、定義を多くの日本人は知りません。
ですから基本「濃いめ」のエンデューロ・マシンは時にカブリが発生。
また、そのマシンの輸入元自身が競技者故に濃い混合気の理由の案内がありキャブレター・セッテングによるトラブルはありませんでした。当然、濃い訳ですから、カブリはありましたがエンジンは壊れません。
余談
他の部分、例えばオーバー・クールなどは別の話です。また、カブルと言っても慣れない最初だけで、慣れればカブリすらなくなる。
しかし、もう一方の輸入エンデューロ・バイクは次々と焼き付き。
理由はその輸入者自体がエンデューロ・マシンを理解していなかった。同様に販売する方も日本のモトクロス・マシンは知っていても本場のエンデューロ・マシンは知らなった為にカブルからとモトクロス・マシン同様にガスを薄くしていきました。
加えてモトクロス・コースには長いストレートはありません。エンデューロは時に長いストレートもあれば泥濘もある。更に砂場もある。
そう言った場所で全開走行を行うとモトクロス・マシンの様に薄い混合比のマシンは焼き付き付いて当たり前。
つまり、マシンが悪いのでなく人災。
余談
良くMX用チャンバーとか、社外チャンバーに変更されます。
するとパワーが上がったように感じたりします。しかし、実際は多少上がった排気効率から単純に薄くなって軽快に回る、途中からパワーが出てピーキーになっただけをパワーが上がったように感じただけと言うのが多い。
もし、本当に高効率になったならガスも濃くしないと意味などありません。そう、性能を上げる為でしょうからね。
キャブも同じく変更したらチャンバー、サイレンサーも変更すべき。
他は知らないがtmの場合、純正チャンバーが最もパワーもトルクも乗り易さも充実しています。つまり、変更するとバランスを狂わせます。
そういう意味でもキャブレター、セッテングは面白い。