このピンクのマシンは日本に初めて上陸したtm125ENその物の画像です。
入荷したのが96年2月。
つまり、北海道は雪の中ですから入荷後直ぐに乗ることはできずにショー・ルームに展示しておりました。
そんな中、tmを予約された方にせめてエンジン、排気音を確認していただく為に外に出してエンジンを始動する直前撮影した画像です。

今から26年前。弊社が(有)モト・マタドールの時代です。
このマシン、フォークがマルゾッキ・マグナム45正立フォーク。
リヤはオーリンスとこの組み合わせは当時のエンデューロ・マシンの定番でしたが、そのサスペンションの中身は他のマシンとは結構相違があります。
余談
その違いは後ほど述べます。
実はtm社と取引交渉に当たり問題と感じたのは価格。
それまで扱っていた外国製マシンと比べて15%ほど高価にどうしてもなります。
つまり、tmの性能も信頼性も未知数であった為に当初は輸入販売をあきらめる方向で考えていました。まして乗っていない為にtmの価値も把握できていませんからなおさらです。
しかし、冷やかしか?と、思われるのも癪です。
余談
当時はまだバブル崩壊と言ってもまだ日本は豊かな国でした。また、オフロードのブームでした。
その為に外国製用品の個人輸入が流行っておりましたが、個人輸入は所詮個人輸入でしかなく聞くだけ、冷やかし、安くほしいだけ、買っても一回だけ、という日本人が多くそんな日本人に対して「食い散らかして終わり」と、いう悪評が欧米でありました。現実、私もマルゾッキを輸入する際にビジネス?と、言われたのも事実です。
ですからtmに対してもただ聞くだけ?と、思われるのも悔しいです。また実際に乗るマシンもなく、tmが欲しいのも事実。
そうtmが欲しい。
正直に他車の日本での価格を知らせ、価格的にも条件的にも私の能力では日本では販売は難しいと思う。でも自分用にどうしても欲しいから一台だけでも売ってくれますか?と、購入させていただいた車両。
当時、tmもまだ小さな会社で優しかったというか緩かったと言えば緩かったですね。
しかし、奇跡が起こりました。
何度か言った記憶もありますが、入荷後に来店いただけたお客様よりわずか一週間で4台の受注をいただけた。
まだ、価格も決まっていない(決められない)。それまでのマシンよりは15%以上高い。何のマシンの情報もない。きちんと入荷できるかのかもわからない。何より売っている本人すら乗ってもいない車両に対して予約いただけたのはtmの持つオーラが生み出した奇跡でしょう。
そこで、急遽本社と商売の話を煮詰めるためにイタリアに飛びました。以来、26年間tmと良い関係を築く事が出来ています。
余談
初めてtmに乗った時はその性能に驚きました。また、自分で乗ってみて、整備、継続して扱うようになってからその信頼性、耐久性の高さにそれまでのマシンは一体何だった?いう程でこれまた嬉しい誤算でした。
99年型tm125EN ロマン・ミカリク仕様
初めてツイン・チューブ・フレーム(ぺリ・メーター)化されたフレーム+マルゾッキ・マグナム50正立フォーク+オーリンスでした。
試乗車もこの仕様でそのスタビリティー、圧倒的な剛性感そして縦置きリード、水冷クランク等にてパワー・アップされた新エンジンが発生する小気味よいパワーは下りながらもインナー50径を持つフォークを高々と持ち上げるトルクは今尚鮮明に思い出せます。
125にインナー50径のフォークは当時の常識ではオーヴァー・クオリティーでしょう。しかし、tmは後で述べるタイヤ同様に見事に消化しておりました。
また、250はtm史上最高の名機と言って過言ではない。

画像はロマン・ミカリク仕様(125)
標準との違いはマルゾッキからパイオリUSD48、リヤ・ショックは同じくオーリンス。
また、リヤのリム幅が標準1.85から250と同じ2.15+140タイヤとサイズアップされております。タイヤは太く、外形が大きく、重くなりますが125で見事に履きこなせるのは今尚tmだけでしょう。
98年エンデューロ世界選手権イタリア・フィレンツェ大会にてロマンのマシンを試乗、感動してこの仕様を急遽製作依頼。
ピットの脇にあったテスト・コースがあり、世界戦を戦うライダー達に交じって走ったコースは乾いて深い轍だらけでしたが、その中を自在に走れる走破性の高さに目から鱗と言うか、信じられない程でした。
そして同じ経験から同行された方がどうしても欲しいと望まれた結果から輸入できました。
標準仕様の他に250はミカ・アオラ仕様、125はロマン・ミカリク仕様として各10台輸入しましたが、あっという間に売り切れました。
tmはサスペンションに随分こだわりを持っています。
マルゾッキにも私に知る売る限り3種類というか?車両メーカーごとにそれ仕様があり、例えばインナー・チューブの長さ等は設計仕様によって違うのは分かりますが、メッキの薄い、厚い、オイルシールの厚み、また材質違い。ダンピング調整できる数値が違う等と構成される部品が大きく違っていました。
また、リヤのオーリンスです。
一見してもアルマイト処理されている、いない。リザーバー・タンクの大きさが違うといったグレードの違い。
勿論、tmの装備ユニットは最もグレードの高いユニットでした。
それはフォーククランプにも表れます。
マルゾッキの成立は削り出しクランプを採用。パイオリ倒立は鋳造。
一見グレードが下がっている様ですが全体の剛性バランスからです。
余談
現在もオーリンスTTXが選べるのもtmならでは。なのです。
そしてtmを見て触り、乗って、所有して初めてtmの価値をご確認できます。それはそれはtmはとてもリーズナブルに思われるでしょう。
96と99モデルはtmらしさに満ちたマシンですが、すべてのtmは忘れられないマシンばかりです。
間もなく125/144Fi(燃料噴射モデル)が入荷します。
とても、とても愉しみなマシンであり、19の250がそうであったように21の125/144Fiもまた忘れえぬマシンになりそうです。
下記画像は2021tm144Fi EN
