乗り易さ 1

バイクでも車でも「乗り易い」と、言うのは一般的にとても大事。当然、購入する、選ぶ際の最も大きなファクターでしょう。

 

「乗り易いというのはレーシング・マシンにとっては必ずしも誉め言葉にならない」という私の持論がBT誌の記事内に紹介された。

また同じく「21は乗り易くなったと言っている(私が)」と、DS誌にも紹介された。

 

普段の与太話でも乗り易いというのは決して誉め言葉でない。

と、繰り返しています。

そう、本気でレーサーにとっては乗り易さはマシンの良し悪しを決める言葉ではないと未だに思っています。

特にレーサーは速さがもっとも大事な要素ですから、例え乗るのが難しいとしても速さが優先です。

エンデューロ・マシンは公道も走れるレーシング・マシンであり公道仕様用のトレール・バイクとは同じ目線で語るのはおかしいのです。

が、しかし、乗り易いに越した事がないのもまた事実。

余談

乗るのが難しい、上手く走れないマシンが速いマシンとは言わない。と、思われるでしょうがライダーのレベルで正反対になる場合もあります。

 

それでレーシング・マシン乗り易いというのが誉め言葉、もしくは評価される部分じゃないという持論を正当化する屁理屈?を述べてみます。

 

乗り易さと言うのは初心者でも上級者に限らずそれぞれが自分の思うように走れるマシンを言うと思います。

が、またライダー・レベルでも違うのも事実。

だから誰でも乗り易いマシンと言うのはあり得ないと思いますが・・・。

 

正直な話

21tm250Fiをトランポに積む、降ろすなどの取りまわし、そして跨りいざクラッチをつないだ瞬間から20モデルとの違いを感じます。

最初は「軽さ」に驚きます。

そして、走り出しいくつかのコーナーをこなした頃には「この乗り易さは何?」って、21モデルで感じました。同時にある意味、少々らしさがなくなったのかと感じたのですが・・。

ただ、距離を重ねるにつれてそのがっかり感は消滅し満面の笑みになっていました。

 

先に結論を言いますが、この速さと乗り易さを両立している現在のマシンtmというか、技術力の進化、高さにまさしく脱帽です。

tmの前には乗り易い=誉め言葉と素直に言いたくなりました。

 

乗り易いから面白さ、愉しさは以前以上に感じます。

軽さと走り易さは従来のtmから一気にワープともいえる程の進化をみせます。

ガレ場でもハイスピードでの挙動でも安定しながら思うが如く走破できるマシンです。

確かに外観は大きくは変わっていません。

しかし、その進化は驚きと喜びをも見せてくれ、まさしく「乗り易い」と、言う言葉がぴったりでしょう。と、いうか初めて広く「乗り易い」と、形容でき、多くのライダーにライダー・フレンドリーと言える。

ただ、乗り易いというのはやはりレーシング・マシンの中での話であるのは間違いありません。

とにもかくにも上級者にはたまらないマシンと言えるのが21tm。

同時に中級者にもtmの良さを引き出せ。性能の良さ、安全性がわかるマシン。

さすがに初心者にはお勧めしないが、よりライダーを育ててくれる先生ともいえるマシンでしょう21tmは。

 

さて、本題の何故、乗り易さと言う言葉は好きと言うか誉め言葉じゃないのか?

それは実体験からきています。

 

大昔、アレッサンドロ(通称アレックス)・プツァール用のファクトリーMXマシンのテスト、また、ミカ・アホラのtm530ENのマシン・テストに立ち会った際のお話を一つ。

 

特にアレックスのテストの情景は鮮烈な印象と共に今も記憶に新しい。

1998年、tmはイタリアのチーム、イタリアのマシンそしてイタリア人ライダーで世界タイトルを目標として世界選手権MXに挑んでいました。

 

そのマシンの開発テストに偶然同行を許され、メカニックのジニに促されトランス・ポーターの助手席に乗り込みました。

数時間後に到着したMXコースにはすでにレーシング・マネージャーとアレックスらが待機しておりました。

 

マシンを降ろし、早速各部チェックから走行開始。

ただ、平日だというのに、また小雨がちらつく中コースにはかなりの数の一般ライダーが走行しておりました。

 

走り出し数ラップ後、状況を見て全力で走りタイムを計ります。

そしてピットに戻り、メカと会話後メカはシリンダーやCDI等を交換、調整して再びコースに。当然、アタック中はタイム測定とさすがはチャンプを目指す真剣さが伝わってきます。

それを何度も繰り返しています。

 

やがて他のライダーたちもイタリアの英雄アレックス・プツァールが走っている事に気が付いたのか、メカがマシンをチェックしているピットに人々が集まり始めました。

流石にチャンプ、また文化として根付いている故に取り巻いてくる彼らとにこやかに挨拶、会話をしています。メカはそれを気にせずにマシン・チェックそしてテストを繰り返します。

 

やがて夕暮れになりかける頃はライダーの姿も少しずつ少なくなり、コースも相当すいてきました。が、折からの雨のせいでコースの荒れ方は半端なく、入り組んだ轍の深さは恐怖を感じるほど。まるでマンマ世界戦のコースその物と変貌していました。

 

長くなるので次回に