日本的に言う分離給油マシンが世に出て3年目の21tm2T。
使用するオイルに当初は悩みました。と、言いますかtm指定オイルが入手できなくて困ったと言った方が良い。
と、言うのもtmがマシン開発、テスト、実使用しているのは「バーダル」と言うブランド。
tm輸入元として純正指定は外したくない。
ましてバーダルは大昔からモータースポーツの世界では高名、有名なブランド。
ただ何故か日本ではマイナー存在。
tmがバーダルと契約した段階で日本のバーダル輸入元さんよりオファーがありましたが、その時点で2Tオイルの取り扱いがない為に価格、量的に厳しい部分からも保留となっておりました。
つまり、日本でも輸入元はありますが四輪用オイルとオイル添加剤が有名で、二輪用まして2T用は取り扱いがなかった。
tm本社から購入も考えましたがオイルと言うのは輸入通関時に成分表提出等の煩雑な手間暇がかかります。そう、1KLも輸入するならともかく僅か数十本の為にはできません。また、日本の輸入元から見たら例え本社からとはいえ並行輸入になりますから弊社の立場的には?という理由もあります。
ただ、バーダルは日本だけではなく、他のtm輸入元の国でも無いらしくてドイツなどはベルレイを使用していると言います。
他国、他社は如何あれ、基本的に輸入元はメーカーの指定オイルを使いたいのが人情と言うか当社の考え方。
HPにあるように正式にバーダルが入手できる今は良いのですが、それまでは当方もベルレイさんのSi7というオイルを使用していた。
使用目的に合致していればオイルの種類でエンジンが壊れるとは思えませんが寿命、フィール、パワー感は確実に変化しますからこそ純正指定にこだわりたい。
更には分離給油と言ってもtmは「レーサー」ですから、オイルは極力良いモノをおごりたい。
余談
ちなみに一度燃料満タン、オイル満タンで林道をできる限り早くヤンチャに走り、走行後、オイル、ガスを補給、計算したところ混合換算で約75:1でした。
通常の混合使用のマシンであれば40:1くらいですから相当オイル分が少ない。
余計良いオイルを使用したくなりますね。
まして価格(例えばH1RとSi7)を単純に比較しても混合用の方がはるかに高価。他メーカーもそうだが3~4割くらい混合用が高い。
別に価格が高いから良いのではなく、気分的に安心したいという部分からもtmの様な純粋レーサーには良いモノを。と、考えるわけで何より一番は純正指定です。
現在はそのバーダルが入荷したので一安心。
それとオイル・ポンプ
昔の国産等の分離給油バイクはクランク・シャフトからギャーにてポンプを駆動する機械式でした。しかし、現在のレーサー用のオイル・ポンプは電子制御ですから余計使用オイルには気を使わなければなりません。
それは粘度。
オイルには粘度、早い話、粘り気があります。加えて気温によって粘度が変化します。機械式ならエンジンパワーでポンプを回しますから多少の固さは障害にはならないでしょうが、電子式はオイルが固いとポンプ作動に支障がでてオイル流量の変化も考えられます。
以上もあって余計純正指定以外は使用したくない。
余談
以前、よりよいオイルとして更に高価なオイルと言う事で混合用を注入された方がおいでになりますが分離用に混合用オイルを使用してもオイル粘度が違いすぎますのでメーカーが設定したオイル量がエンジンに供給されません。
またポンプにも余計な負荷もかかる。
つまり、最悪エンジンが壊れる事を意味しますので絶対混合専用2Tオイルは分離用には使用されないでください。総じて混合用オイルは固いというか粘度が高い。
大昔、混合用オイルを分離で使用する際にはアルコールを混ぜて使用する。と、その混合割合も含めてオイルのメーカー・マニュアルに記載されていた事もありました。
オイル・ポンプ寿命
各車両メーカー独自にオイル・ポンプの交換時期をマニュアルに記載されております。
ちなみにバーダルKTSを指定するtmは80時間毎交換。
あるベルレイSi7指定のマシンは70時間毎。
共に同じメーカーの同じオイル・ポンプを使用ですから10時間の違いは指定オイルの違いからかもしれません。
ただ、こういう機械ですから走行時間も大事ですが例えあまり乗っていないとしても2年毎に交換を推奨しています。
そう、2年若しくは80時間毎のどちらか早い方。
マニュアルを無視して未交換使用にて壊れた場合、壊れた。ではなく壊した。と、言います。
インジェクション車両の場合、燃料ポンプが壊れても他の機関には重大なトラブルにはなりませんが、オイル・ポンプは損傷すると大変。
余談
tm-EN車載純正メーターにはエンジン・アワー・メーターが組み込まれています。
尚、使用平均速度を20~30㎞とすれば距離で言うなら1.600~2.400km走行毎と言うあたりでしょう。
あ、少ないように感じますか?
でもレーシング・ユースの話です。また、ISDEの走行距離にも等しい。
粘度と言えば「低温流動性」。
気温が低くなるとオイル粘度が高く(固く)なり、同じようにメーカーが予定しているオイルの量がエンジンに供給されない場合も想定されます。
ですから、低温時の粘度も含めて考えなければなりません。ですから余計、純正指定以外考えられない。
ま、北海道は特に、ですね。
先のオイル・ポンプの寿命を考えても純正指定オイルのバーダルKTSが現在のtm2Tレーシング・インジェクション・マシンには最高のマッチングでありベストと言う事を頭の片隅においてください。
というわけで、メリークリスマス
