tmの背景

40年以上も昔の話だが、ある自動車の雑誌記事にてインプレ記事の最後に「何のために存在するのか分からない車」と評価というか酷評された自動車があった。

今の時代なら炎上するような話ですが、そういう記事が読めるからこそ雑誌として人気もあり、偏っていると感じながら痛快なインプレをとても楽しみにしていました。

残念ながら今はこういう気骨のある雑誌といいますか雑誌として存在する理由を雑誌自体理解している雑誌は少ない。

万物には存在する理由が、また背景がある。

勿論、制作側と使用する側にて感じる違いはありますが、その背景を知らずにいると、その存在する意味が解らない、つまり理解できない。するとその物の本質など永遠に分からない。

そう、存在する背景を知らずに評価をすると全く違う評価になり、残念なことに良い評価になる事はほぼない。

 

一般のユーザーが試乗などで感じ、述べるインプレはその方の経験と能力が基礎となる。

ですから、時に頓珍漢な、例えばレーサーに乗ってパワーが有りすぎる。とかブレーキが効きすぎる。等と言った意味不明というか、その機械の使用目的(背景)を大きく外れたインプレが出てきたりします。

そう、マシンがその乗り手のレベルを超えてしまうと、また、乗り手がそのマシンの背景を知らないと評価どころか悪評、酷評となる事になります。

 

tmが生まれた背景は。

市販状態のままで世界戦に勝利できるマシン。であり、それらの中でOne of the bestと言えるのがtm。

つまり、エンデューロという競技の世界のトップライダーたちが勝利するためのマシンとして開発されている背景がある。

 

エンデューロ・マシンとは時にすざましい速さと自在で圧倒的な走破性で未知の野山を自在に駆けめぐり、テストでタイムをたたき出す。

それに必要なのは安全を担保する鈍感な挙動。

つまり、シャーシもエンジンもそれに沿って開発され生まれたマシンを言います。

 

更に現在の世界選手権なら一日200㎞~300㎞。ISDEならそれを6日間、1800kmを初期性能を保証する信頼性と耐久性。

また、今のレギュレーションは確認していませんがちょっと前まで公道走行用一般市販車、主部品の変更、改造はできないのがエンデューロ・マシンの定義です。

 

また、次のようにエンデューロ・マシンを例える表現もありました。

未知の悪路を走破する粘り強く強大な低速トルク、テストでの速さを確保する高速パワー。

トップ・プロが操縦して2000㎞以上初期性能を維持できる信頼性とパワー。

外乱をものともしない強靭なフレーム。長距離で疲れないソフトでしなやかなサスペンションは大ジャンプにも耐える長大なストロークを持つ。等々。

以上、40年ほど前、欧州のエンデューロ・マシンの背景を紹介していた内容です。

如何にMXバイクとは違うというのもよく分かります。

 

ただ、現在は環境問題から自然のコース(環境)を痛めるようなコースが減少。同時に人工的コースでのテストが多くなってきました。

早い話、走破性より速度って事になってきた。また、コースが簡単になる。と言う話にもつながり、結果、伝統のGPらしさをも失ってきたのもまた事実。

 

また、言葉はよくありませんがマシンのレベルが下がった。つまり先のエンデューロ・マシンより、例えばトルクや信頼性が減少しても走れるようになったのです。

 

 

つまり、背景の変化。

難しいコースから必要だったマシンから、走破より速さを要求するマシンと変貌。

これはマシンのレベル低下というか走破力を失い、また、多くのライダーを得るためもありパワーも低いマシンも多くなってきました。

 

その中でも。

tmはかたくなにGPを戦うためのレーシング・マシンを開発しています。

それは頑固と言うべきか?哲学と言うべきか?

それは21モデルとて同じ。

100%市販車のままGPで勝てるマシンとしてパワーもトルクも走破性もエンデューロ・マシンとして手抜きは一切ありません。

  

環境問題から消滅するはずだった2Tですが、技術革新から進化している現在の2Tはとてもすばらしい。

 それは燃料噴射化によって更なる進化、熟成を実現しました。

Fi化による高い燃焼効率はまるでディーゼルエンジンの様な驚異的な粘り、圧倒的な低速トルクを生み出し、強大なトラクションはハード・エンデューロにもGPにもいかなる状況にも対応しています。

 

だから今、時代は如何であれ2Tファンには過去にない最高の状況。

最新鋭のFiと従来の様にパンチあふれるキャブレター仕様共に入手できるのですから。