21tm250Fi-EN-ESインプレ

 

左が標準仕様、右がOPのホワイト・バージョン

 

空気圧は前0.8psi。リヤ0.7psi

サスペンションのセッテングとしてフロント・フォークは標準より圧を2つ弱め、伸びは標準としました。フォークの突き出しは1段目。

リヤ・サスペンションは伸びを1クリック強めました。

ハンドルのポジションも標準と言うか0に。

ガソリン=シェル、オイル=純正指定バーダルKTS。

 

つまり、ほぼ標準のまま走行開始

エンジン

21になって変更されたのはECUとミッション6速化(OP)。勿論、細部も進化しています。

始動は瞬間始動。試乗の間の始動は常に一発。しかもセルボタンに触れるだけ。

従来同様tmらしく始動性に関しては全く不安も問題もありません。

また、試乗の最初から終わりまで全く変わらない機関の安定感はtmの伝統。

 

まったくの新車、シェイク・ダウン故に全開走行は控えましたが、エンジンの滑らかなフィール、スムーズな立ち上がりはtm ユニットその物ですが混合燃料を使用しているような滑らかな肌触りです。

余談

2T250を林道で全開にするには今や覚悟が必要。

 

Fiは通常のハイ・オクタン・ガソリンを使用。

20Fiの回転フィールはシャープと言うか硬質感を感じましたが、21Fiはまるでキャブ車同様混合ガソリンを使用している如くしっとり、滑らかに回ります。

 

ただ、これはバーダル・KTSが関係しているかもしれません。

 

ですから回転フィールがとても上質かつジェントル。

20も回転自体はとてもスムーズでしたがエンジン自体がスロットルに先行して回りたがる、ライダーを焚きつける、もしくは挑戦するようなフィーリングで、あれはあれで愉しかったのでしたが21ではそんな荒々しさはすっかり影を潜めました。

 

上質になったと同時にまるで青年から大人になったような落ち着きすらまとっています。

ですからこういうマシンにはあまり意味はありませんがゆっくり走る、景色を楽しめるような走りも可能に。

円熟され、しかもライダーの意思に忠実にパワーを増減しますから更に心地よさも感じます。

勿論、スロットルをユックリ操作すればの話です。

以上から、より300チックになった。排気量が大きくなった?と、言った方が分かりやすいかもしれません。

 

しかし、tmらしくライダーが望むなら思いのママにパワーを立ち上げ、基本的にはフラットですが、回転上昇に伴い2Tらしく曲線的にパワーも盛り上がります。

このユニット、パワーだのトルクが有るだの論争は超越しており、とにかく乗り手の意思に忠実という言葉が適切でしょう。

 

して、6速化。

標準の13T:48Tのエンデューロ用ファイナルでも以前より快適にターマック移動を可能にしています。

しかもトルクのある4Tシングル・エンジンの様に高めのギャーで低速から加速するときパルス感もあり、そのトルキーさ、フィーリングもこれもまた気持ちが良い。

 

また、トランポをお持ちでない方。自走でターマック移動して山に入る。と、言った使用をされる方にはよりコンビニエンスでしょう。

また、ファイナルをよりロングにすればツーリングも楽しめる。

余談

宝石の様なtmエンジンでツーリングなんてもったいない!と、思いますが・・。

 

シャーシ

実は興味あったのは軽量化されたフレームと新デザインのハンドル・バー。

経験豊富で正しい知識をお持ちの方々には釈迦に説法でしょうが現在のオフロード・マシンのステアリング・ハンドル・バーは以前の様にライダーに合わせるのではなく、マシンに合わせるのが現在のセオリーとなって久しい。

つまり、マシンのポテンシャルを引き出すためのハンドルが必要なのです。

この部分ではtmは評価は高く以前から自社開発のハンドル*を使用し実際交換を感じさせることはありませんでした。当然車体とのマッチングの良さは言うまでもありません。そのハンドルが21で変更になりました。

* 製造はReikon社

 

画像を見ていただければお判りの様に高さ、絞りが従来の物とは大きく違います。

 


次回、20モデルと比較試乗してきますが、21も当然全く違和感がありません。それどころかとてもしっくりと自然に走れます。

そう、勘違いをされても仕方ありませんがとても乗り易いのです。

言い方を変えると慣れ親しんだマシンの様に最初からガンガン攻める事ができる。

 

スムーズで制御しやすいエンジンと21シャーシの組み合わせはライダー・フレンドリー

であり乗り易い!マシンと変貌してきています。

余談

乗り易いっていうのは褒め言葉とは思えません。また、どちらかというと使いたくはないのですが、確かに乗り易いという言葉が簡単で的を得ている様です。

 

これが新時代であり、時代の流れなのでしょう。

21tm、tmの考える最新鋭エンデューロ・レーシング・マシンであり、現在の戦(レース)を戦うためのマシンです。

 

ただ、ライダー・フレンドリーとは言っても「速いマシン」です。

速く走ろうと思えば際限なく、そしてとてつもなく速く、圧倒的なパフォーマンスはまごうことなく生粋のtm Racingのマシン。

tmならではの安定感、鈍感な挙動は路面状況に関係なく限界を超える速度にあっと言う間に経験値の少ないライダーの限界に達してしますので注意は必要。

 

でも、乗り手が名手ならとても愉しく素晴らしいマシンなのは保証できます。

何故なら乗り手の意思に忠実に速度を上げ、止まり、思うように曲がり、走破する。

また、鈍感な挙動は乗り手を守り、助けてくれる。この安全性はtmの伝統その物です。

マシンとして全く真っ白であり、生かすも殺すもあなた次第。

 

尚、フレーム単体の軽さを感じる事は私には正直分かりませんでした。

ただ、トルキーでスムーズなエンジンとの組み合わせもあって「とても軽いマシン」であることは何方が乗っても体感できる。取り回しも同様に250とは思えないほど軽い。

 

さて、新しいハンドル、軽量フレーム、新エンジン・マッピング、6速ミッションを装備する21tm250Fi ENの走破性は?また、操縦安定性は如何だろう?

 

まず、それほど難しくはないが荒れた登りで轍が入り組んでいる場面があります。

愉しめる、そこを走破するのが愉しいと思う場所があります。

昨年のtmと直接比べなければ確実な話はできませんが更に自信をもって挑めるというか、更に楽にマシンを操作できている感覚です。安定しているという言い方も正しいと思うが自信を持てるというか?

言い方を変えると「こんなにここ簡単だったっけ?」と、感じながら登っていました。

また、同じ場所を、更に荒れた場所を下っても同じく不安もない。

そう、エンジンもそうですがハンドルの影響、ポジションがより適切って感じです。

ハイスピードで下る荒れた路面での安定感というか操作感が楽になった様で安心感が大きくい感覚を覚えました。

 

登りの安定感というか楽に、走破性の高さは低速のトルクの出方がよりスムーズになった。もしくはレスポンスがマイルドになった?のも一因なのは確かです。

 

流石にぬかるんだ登りですから「タイヤ・パターンを残しながら」と言うのはありませんが無駄にホィールスピンも無ければ横滑りなどない。開けた分だけトラクションするという感覚。もしくは乗り手の意図、右手からリヤタイヤに直結している感覚と言うべきか?

この極低速の開け始めのスムーズさはFiの特権です。

また、バランスが崩れてスロットルを戻しても全く違和感がありません。キャブと一緒です。

それとショック吸収性に優れたサスペンションがそれを助けているのもまた事実。

*サスについては後半に述べます。

また、ポジションがとても自然と言うのもありますし、登りでも下りでも実に自然に無理なく体が動きます。

 

乗り始めた当初、もうキャブだのFiだ。また、どちらが良い、どちらを選ぶべきか?などと言う話は21tm250Fi ENの前には無意味な論争だ。

と、今度のインプレはこれが書き出しになるだろうと考えながら走っていました。

 

際立つスムーズなレスポンス、滑らかな立ち上がりは正直「物足りない」感覚も当初は覚えるほど。

そう従来の、96以来のtmエンジンを知っている私は21の調教がすすんだように感じるエンジン・フィール、パワー、トルク・デリバリーはこれでいいのかな?なんて偉そうに感じてもいたのですが、気が付くと愉しい、実に愉しい。また、どこにも不満もない。それどころかとても全開にできない奥深さに感銘すらうけています。

 

つまり、これが現在最も進んだレーシング2T-Fiパワー・ユニットであり、tmの答えであることが30分ほど走り回って感じ、更に30分後には確信に変わりました。

 

先の路面の悪い場面、ぬかるんだ場面での確実なトラクション、ハイ・スピードで走行中に出くわす水たまりを避けるためにフロントをアップするのも自在です。あらゆるシチエ―ションでトルク・デリバリー・マナーは完璧であり、パワーは十分以上。

 

Fi化されて3年目の250エンジン。

先にも言いましたが何も言われなければキャブだのFiの違いは多分分からない。

もし、それが判るとすれば先にも言った極低速、低速の粘り、トルクを伴う回転上昇のスムーズさでしょう。キャブはやはり開け始めのパンチ、前に出る感覚はキャブならではの痛快さ。この感覚はFiでないわけではないが確かに少ない。

*このパンチが選ぶ要素になるかもしれません。また、腕に覚えのある方はキャブを好まれるでしょうか?

 

しかし、気持ちよくスロットルを捻るとすべて後方に流してしまう圧倒的加速がすべてを忘れさせます。

つまり、スロットルの明け方で性格は変わります。そうジキルとハイドの様に。

 

画像を見てほしい。

 

エアー・バルブが僅かに傾いています。

tmの制動力、ブレーキ・システムが強力なのは何度も言っていますが、シェイク・ダウン、新車のインプレでありながらハード・ブレーキングをしていた証拠です。

言っておきますがスロットルは最大でも50%開けていません。ほとんどが20~30%です。

その中でも速さは尋常じゃありません。つまり、トラクションが抜群に良い、コーナー突っ込みが速い。だから愉しい。

コーナーを愉しむ、突っ込みを愉しめるのはハンドル・バーの影響もある。

* 従来型に新型ハンドル装着して走ってみたいですね。

 

今回21tmをライディングするまでバイクには二か月以上乗っていませんでした。

そんなロートル・ライダーにもtmは愉しませ、感動させてくれました。何より、攻める面白さにバイクが好きな自分を見つけました。

余談

そうtmスピリットはそのままなのです。

 

最後にサスペンション

フロントの圧を2クリック弱めた事は必要なかったように思います。

tm用21KYB+tm shockはエンジン同様に実にスムーズでありしなやかにショックを吸収します。まるでオーリンスに匹敵するのではないか?と思う程上質でもあります。

 

更に路面情報。

tm用18KYBのまるで路面を自らの手でなぞっているように伝わる路面情報量とは違って、ライダーに必要な部分だけをマシンが選んでくれているような?

そんな感覚と言ってよいかと思います。

また、18KYBの轍など物ともしない巌の様な何所でも突き進む感覚ではなく、しなやかに「いなす」と言う感覚です。

 

tm shockも熟成も進みソフトな当たりながら、はねた後の路面追従力の高さはマシンの安定性能に寄与してくれます。例えば橋、林道にある川にかかる橋に段差を通過する際今までドンっていう感じだったとするとトンというよりタンっていう感じと言えば分かりやすいでしょうか?

KYB+tm shockのマッチングが素晴らしい。従来とて不満はなかったのですが、サスいい感じって意識です。

 

操縦安定性というか、今回tmに助けられた場面

林道から一部舗装に入った。しかも雨直後で濡れた路面の左コーナーに一瞬ヤバイっていう速度で侵入してしまいました。

経験からそれは路肩の側溝に落ちるか、スリップダウンか?を、覚悟しましたがマシンからは全く不安な部分が伝わらない。それどころか路面グリップがはっきり伝わる為に余裕からか、その中でもブレーキングして事なきを得る事ができた。

多分以前のtmも同様でしょうが肝を冷やしました。

一体、何度マシンに助けられたことか!と、tmに感謝!

 

新しいハンドル、軽量フレームは更に走破性を進化させ、加えて新エンジン・マッピング、6速ミッションは洗練されたエンジン・フィールとより幅広い使い勝手と走行状況を実現したのが21tm250Fi EN。

 

一見、以前の様に筋肉質なフィールは影を潜めています。

そう、使える筋肉を上質なスーツにて身を包んだ紳士と言えるマシンといえる。

丁寧にスロットル開度30%以下で走れば実にジェントルで乗り易いと表現できるマシンです。また、そんな範囲でも攻めながらも愉しく走れます。

しかし、一端名手がハンドルを握れば乗り手のポテンシャルを存分に引き出してくれる。

それが如何に愉しいのか?それをtmは安全の中に教えてくれる。

 

確かに見た目は今までと大きく変わらないが中身は大きく進化していたのが21tm。