先日、キャブレター仕様とFiつまりインジェクション仕様を直接乗り比べてきました。
厳密にいうと19Fiと20キャブと言った違いはありますが、いずれにしても初めて直接同じ場所、同じ排気量同士にての乗り比べになります。
事の発端は新車のシェイク・ダウン(キャブ)にお一人で山に行かれる!と、言われるので付き合いますか?って、話から。
ただ、今試乗車もないのでECUのセット・アップに入庫しているユーザーさんのマシンを借用することにした。勿論、了解は頂いてです。

どっちが良かった?
tmらしくキャブレター仕様はしっとりとトルク・フルなフィールは絶品。この滑らかな肌触りは慣れ親しんだtm2Tそのもので安心感、気持ちよさは絶品です。
Fiはシャープ&ソリッドに回る感覚。
これは混合仕様より単純にオイル分が少ないからでしょう。
但し、Fiだけに乗っていればtmのレーシング2Tそのもので何の違和感もありません。キャブ仕様に乗って初めて違いに気が付く。と、言えばその自然さは伝わるでしょうか。
特に全くフリクションを感じさせない、また高回転の際限なく、しかも瞬時に回り込む感覚は125チックで心配になる程よくまわる。
その感覚はガスが薄い感覚とでも言いますか?キャブにはない未知の領域でした。
昨年Fiにて試運転というかテスト走行の結果、消費オイルと消費ガソリンから大雑把ながら計算すると大体80:1~85:1くらいと述べた記憶があります。
つまり、キャブレター仕様から比べたらオイルの量は半分以下と言う事になります。
加えて使用オイルのグレードというか、価格はキャブレター仕様の混合オイルより安い。
つまり、グレードが低い?
キャブレターには混合専用のハイ・スペック・レーシング・オイルですが、Fi用は分離混合両用のレーシング・オイル。
中々テストもできませんから今、国内で入手できる分離混合両用のレーシング・オイルの中では最高峰を使用していますがそれでも混合用のオイルの60%ほどの価格。
また、弊社で使用したオイル同士では混合用は粘度が高く、分離用はサラサラって感じです。
つまり、価格云々は別にしても何気に不安。
とはいっても何も根拠がないのですが、とにかく今までの分離給油(トレールバイク)=もっさり、走らない、パワーがない、回らない。と、言う部分ですから。
つまり、そのようなオイルをトレール・バイクからは絶対に想像できないパワーと高回転の伸びを持つ純然たるレーシング・エンジンに使用してよいのか?
余談
高ければよいとは言いませんが価格にはやはりそれなりの理由がありますから。でもメーカーが大丈夫と言うのですから大丈夫でしょう。

我々はレーシング2T=混合世代。
その中でも2Tレーシングの最高峰のtmエンジンが分離給油でも同じように回り、走るのです。
乗った瞬間にトレールの様に走らないのではないか?回らないのでは?など言った心配などはるか後方に飛んでいきます。
そう、走っている中ではまったく気にならない。
意のままに反応し走る愉しさは半端ない、何よりメチャ速い。また、パワーは尋常ではない、スロットルの追従性も素晴らしい。と、ため息の領域に入ります。
ですから走りの中では全く不安も不満もない。
パンチ、走りの部分はキャブをしのぐといって過言ではない(ある意味不純物のオイル分が少ないのですから当然です。)
キャブレター仕様はtmですから何も言う事は有りません。
二年目になり熟成の進んだ新デザインのエンジンは3%混合という中でもサイレンサーの後ろから大きく、大量に未燃焼オイルも少なく、実にきれいに回る。
何より、先にも述べたようにシルキーと言うか、上質と言うか滑らかなフィーリングは同時に安心感にもつながります。
Fiとの大きな違いはやはりトルク感
混合のキャブ仕様はオイルによってしっかりシールさせていると感じさせる滑らかなトルク感、粘り感を与えてくれます。
Fiにトルクがないのではありません。
登りでも、スロットルの開け閉めでもキャブよりトルクがないとは全く感じません。
tmならではトルク感は健在なのですが、オイル分の少ないガソリンによる瞬発力と言うか、速い燃焼速度がもたらす驚異的ともいえる瞬時に伸びる回転上昇が持ち味なので結果、キャブレターの方がトルクを感じやすいと言い換え出来ます。
また、キャブにパワーを感じないわけでも当然ありません。Fiにトルクがない訳でもない。乗り比べて初めて感じる僅かなキャラクター違い。
ですから、それぞれに乗ってエンジン・パフォーマンスに不満など見つける事はたぶんできないと思います。
共に2Tレーシング・エンジンです。
また、シリンダーのポート・デザインも同じ。
当初はFiに乗りましたがtmのエンジンであることに一点の濁りはない。
また、混合仕様であるキャブレター仕様とて本来のtmのエンジン、最高峰のレーシング2Tの感動を存分に味わえます。
少々乱暴ですがトルクのキャブ、パワーのインジェクションと言ってよいかも。
但し、僅かな違いです。
さて、貴方なら如何する?