ワークス・マシン

古い話で恐縮ですが実際に乗った。もしくは整備など触ったこと、携わったワークス・マシン達を紹介というか、世界タイトルを目指して開発される。また、世界の名手たちが望む所謂ワークス・マシンと標準とは何が違うのか?って、いうお話を一つ。

 

元来、好き者の自分にはうれしい事に様々なファクトリーもしくはワークスと呼ばれるマシンに乗ることができました。

まず。

VORはミカ・アホラのVOR530ED。デロルト仕様とFCR仕様の二機種。

最終的には一度の世界戦を走って幻に終わったロマン・ミカリクのVOR250ED(Fi)。このマシンには乗れていませんが。

 

そしてtmのワークス・マシンはロマン・ミカリクによって1999年世界タイトルを取った時の125EN。しかも本番用その物(二台あるうちの一台)。

さらにミカ・アホラのtm530EN、アレックス・プツアールの125MX。

それと2002、2003、2004年と日本で開催された世界選手権MXでも走ったtm450MX。

加えて2010年エンジンのみワークス・チューンの125ENを二台輸入。

それと番外ながら新旧ヴェルティマテー500MXとファンテック50。

 

tm以前、KTMを取り扱っていた時はマイク・ヒーリーの250、そしてボビー・ムーアの125のKTMのワークス・MXマシン。それとトランパス・パーカーの250。

当時はMXであれEDであれファリオリがチューンを手掛けていましたが、そのマシンからチューンの手法を教えていただいた。

 

例外なくこれらのマシン達は標準を大きくしのぐ増強されていたのは“ボトム・トルク”

ワークスと言うと中には高速域に主眼を置いたマシンと思われがちですが、メーカーは関係なくベース・チューンはすべて低速~全域においてトルク増強でした。

余談。

古い話だが正直、上記のワークス・マシン(勿論、すべてではない)に乗れたのは望外であり希少の経験でした。しかも世界戦を戦っているその物。して、望めば今年大活躍し最高峰となったtmファクトリー・マシンに乗ることも可能ですから幸せな話です。

 

最初に乗った関係から特に覚えているのは99年ミカリクの125。

99年の世界選手権イタリア大会はフィレンツェ郊外にて開催。友人のF氏と本社より頼まれた部品をもってその大会に出かけた。

ピットが設営される一角にマシン・セッテング用のコースがあった関係もあり当時のマネージャーのファビオに乗ってよいか?と、たずねたらOKと、なりなんとロマン・、ミカリクのスペアー・マシンでそのコース・イン。

 

世界のトップランカーのセッテング・コースの荒れ具合は半端でなく轍が入り組んでいます。しかも、まるでマディーのMXコースが乾いた様に深くそれもパンパンに固い状態。その中に恐る恐る走ったのですが、意外にも走れる乗り易さ!その轍をものともしない走破性&安定感。それを実現する柔軟で思うままにトルクを立ち上げるエンジンに驚いたものです。

余談

同行したF氏はその場でこのマシンが欲しいとなりました。それくらい安っぽい言い方ですが“乗り易い”のがtm125ENのワークス・マシン。

また、BSがEDタイヤの開発テストをそのコースでしていました。

 

後日、ファビオにその仕様を掛け合うとOKと限定250と125の各10台輸入。

入荷後あっという間に完売となったのはうれしい思い出。

当時の標準フォークはマルゾッキ正立50。それをパイオリのUSD46に。加えて125のタイヤ&リムは250サイズにした仕様。

 

 99tm125ロマン・ミカリク仕様(撮影場所日高山中)

 

してtm530EN。

アホラのマシン・テストに同行し乗せてもらいました。

現在の250(4T)に採用されているラム・エアー・インテーク・システムを装備されたそのマシン、陳腐ながら例えるとジキルとハイド。

強烈な低速トルクはラフなスロットル・ワークだとその速すぎる加速に驚愕。しかし、丁寧、適切なスロットル・ワークだとタイヤパターンを残しながらもスロットル開度に応じた早い加速、いかなるギャーにおいても瞬時に立ち上がる様は今尚鮮明に思い出せる。

そう、仙台で乗った450MXも同様でした。強烈なスロットル・レスポンスの反面スムースでジェントルなパワーデリバリーをみせました!

 

そしてVOR530EDはこれまたトルクの塊。スロットルなど開けるという表現は適さない。絞る?触る?って、いうくらいで思うままに走れました。

 

そう、いずれもいかなるスロットル・ワークにも追従する低速トルクを持っていた。そういえばアホラが良くボトム、ボトムと言っていました。特にVOR530EDにFCRを装備してgood toque!と、ご満悦だった表情を思い出せます。

余談

インプレでスロットル開度20%とか、ユックリ開ける。と、言うのは強烈なトルクのファクトリー、ワークス・マシンにて教えられたのでしょう。tmにしてもVORにしても標準でもトルキーですからなおさら。本当に良いマシンと言うのは乗り手を育てます。

 

その以前のKTM時代、アブガスが認められており、そのガスの影響もあり250/125マシンともども強烈なトルクを見せました。

125のシンダーは全く市販とは別デザインの一品(ツイン・バルブ・コントロール)となっており4速でも開けるとフロントが持ち上がった

ただこれはMXでエンデューロは標準シリンダーの加工。

余談

以前、与太にてone of the thousandで述べたシリンダーです。

 

当時のファリオリのMXメカニックのパトリックにチューンの手法、仕組みを教えてもらった。特に250は参考になりました。

ただ、それはあくまでアブガス対応チューンでハイオク仕様にはそのままでは意味がありません。勿論、通常のハイオクでもそれなりには感じましたがまるで違いました。

いずれもやはり、低速トルク&フラット主体のチューン。

余談

標準仕様ベースのチューンでしたからデチューンと言う部分にも随分応用ができ後々2000~2002モデルの超パイパワー250ENのチューンと言うか、デチューンにもずいぶん参考になった。

 

いずれもスロットルを開けなくとも、回さなくとも速く走れる。つまり、開けなくとも速いのがワークス・マシン。

余談

tmは125も開けなくとも十分速く走れます。って、話は125のインプレで述べています。

つまり、良いマシンと言うのは標準でもトルクがあるマシンをさします。

 

何故低速(トルク)なのか?

トルクがあればトラクションが大きく、走行自体安定します

また、回さなくともよいので速めのシフトアップも可能。つまり、速く走れますし、マシンも暴れずに疲れません。また、機関の耐久性にも寄与します。

 

開けなければ走らない。ピーピーと回さなければならないエンジンでは乗り手は上手くは育たない。トルクが薄いとマシンが暴れますから早くは走れない。大体が危険!

回さなければパワーがないマシンとでは価値が違う。回さなくとも走るマシンはライダーを早く安全に成長させてくれるマシンと言えます。

 

低速トルクが太く1速高めで走行できる価値はオフロードでは何より大事なのはお分かりかと思う。

 

現在もそうですがtm125に乗るとよく分かります。スロットルを掛けなくとも、回さなくとも走る。低速が強いありがたみを感じてください。大体、音からして違います。

 

話は変わって現在2Tも4Tも300が人気なのもそのトルクから。

日本は車検があって300はあまりメジャーじゃありませんが低速トルク増強というなら排気量アップがセオリー。

また以前、250cc以上はいきなり500クラスになりますから、得に長丁場のエンデューロは500クラスの中でも300の方が速い。結果CRE260なんてマシンもあったのです。

 

そうダートマシンは低速が大事と言うお話。

と、言うことでtm2020年モデル試乗車の一台は2T300。理由は最近300の需要と言うかご注文もいただきます。

 

その2020プロトモデル2T300Fi-CCがもう少しでやってきます。(クロス・カントリー仕様)

他の入荷、納品も重なって紹介するのはもう少しお時間を頂きますが私自身2T300Fi-CCは初めてのマシンになりますので愉しみでなりません。

 

注意

文中、VORはED、tmはENと表現しておりますが、当時のまま表現しました。共にエンデューロを意味しています。