One of the thousand

大昔にもこの題名で四方山話をしたことがありますが、直訳すると“千に一つ”。

ま、機械の場合はいわゆる名機、名器と言える物を例えて言うのでしょう。

最近はデジタル時代故か?この味わいを感じる機械が少ないというか?ないというのか?

 

車、バイク、オーディオ機器、カメラと言った人間が使用する際の使い手が受ける感性というか、五感に訴える何か?を持つ物ですとか、同じ物ながら性能が抜きんでている。他とはまるで違う様に思うもの。更に生き物的何かを感じる。使用してとても気持ちがよい物。何か特別なものを感じる。と、いった類でしょうか。

 

30年ほど前の話ですが、ファリオリを尋ねた際に彼らのワークス・マシン(正確ににはスペアー・マシン)に搭載されていた125の中古シリンダーを頂いてきた。また、ほとんど見分けは尽きませんでしたが本番用のシリンダーのポートなどの画像も撮影。他にも250のチューンの方法も教えていただいてきた。

ただ残念なことに帰国の飛行機がモスクワ経由だったためか?成田には荷物が届かず、後日戻ってきた荷物の中にはシリンダーもそうだが他の買ってきた物はなくなっていた。

 

しかし、その画像、データを元にポートを加工したマシンに乗った時の感激は今尚鮮明に思いだせる。

あまりのトルク・アップにお客さんに紹介すると、やはり希望があって何台かシリンダーを加工させていただいた。

しかし、所詮はマネですからバラツキがでます。

ま、だからと言ってノーマル・シリンダーとは比較にならない程にトルク・アップしまのでそれなりに皆さん喜んでいただいていた。

 

やがて、下取り入庫した一台の125に乗ってみて舌を巻いた!

まさに完全に当たりが出たためか名機と言えるマシンとなっていた。正直、下取りに入ってラッキー状態。スムースでトルキー、パワフルとノーマルとは全く違っており、なぜ入れ替えようとするのか?と、思ったくらい。

あまりの素晴らしさに販売する際はシリンダーを標準の物にもどした。そう、もったいない状態。

余談

同じように加工できるか?って、思うほど出来が良かったのです。

 

しかし、本当の名機と言うは加工しただけで得られるものでもありません。

その翌年でしたか?定かではありませんが中古で入庫した他の125にそのシリンダーを搭載したところ名機と言うのはエンジンだけでは成り立たないのが良く分かった。

つまり、車体との組み合わせ。

年式違いの車体に搭載したところ、マシン自体が別物なった。

とにかく軽い。そのくせ“しっとり”というか、なにか忠実な馬の様にこちらの思うままに反応して走ってくれるマシンとなった。

だからと言って不思議な事に同じ年式の車体に搭載したからと言って同じようになるわけでもなかった。

つまり、当たりの車体に組み合わせた結果、まったく違うマシンのごとく。つまり、One of the thousandとなり得たのでしょう。

 

同じことは250にも起こった。

こちらはエンジンも車体も整備はしていたが、特にチューンと言うものはしていませんでした。しかし、その個体年式こそ90年式でしたが、93年式に匹敵するほどパワフルであり、本来あまり気持ちよく回るエンジンではなかったがスムースにしかも際限なく様に回る。更に車体も同様で同じ年式と比べても軽かった。

 

30年近い昔の話ですから国産と比べても公差も多く、当時の外車ならではの、また、一部ハンドメイドの悪しき部分もあったと思われます。だから名機も造る?事が出来たのかも。

 

余談

多分、これを読んでアッと感じる方もおいででしょう。そう、あのマシンですよ。つまり、それくらいのインパクトが有った訳ですね。

 

話は変わって初めて日本にやってきた96年式tmに乗ってそれまでのバイクの常識が見事に変わった。

正直、イタリア物のtmには様々な意味、部分において本当に大丈夫か?って、いう懸念はありました。しかし、乗ってみてそのすべてが杞憂であることが判明。

確かに今尚、時に配線が抜けていたり、マフラーがフレームにくっついていたりと言った部分はあります。

しかし、肝心な機械部分というか、乗って感じるOne of the thousand 感。と、いうか特別感は他ではない。しかも、全てもマシンに同じように感じるのはtmの世界。

 

今更何故そんなことを?

実は先日、試乗車がフェリーで戻ってきました。

そのフェリーから降ろす際の出来事なのですが、出口に車体の向きを変えながらスターターにてエンジンを始動。その始動と同時に軽くブリッピングしたその音に背筋が寒くなった。それほどの快音であり迫力に満ちている。

余談

これって、もしかしてセルならではの?

 

特に2Tの音は素晴らしく何とも“よい音”でまるで魂に響くほど悩ましく、官能的だ。

フェリー船内からトランポの所までの僅か数百メーターの移動すらとても気持ちがよい乗り味。

4Tに至っては音もそうだが、しっとりとしながらピシッとした思うままの走りと操作感の気持ちよさにたまらず雪は無いが寒いフェリーターミナルの駐車場を“一周”。

 

やっぱtmは素晴らしい!と、改めて感じ帰りの車の中でそれを思い出し思わず口に出ました。

 

いや、tm19モデルは本当に素晴らしい!

これこそtmの歴史に残る逸品。

24年間毎年新しいtmに乗ってきて本気でそう感じる。間違いなく19tmは2も4Tも名機の香りに満ちている。

そう、tmはすべて、あなたのマシンもOne of the thousandであり、ユーザーに所有する喜びも与えてくれる稀なマシン。