本社を最初に訪れた際の事である。
正直、規模の小ささに驚いたのをよく覚えています。
過去、KTM本社を訪ねた時も規模に小ささに唖然としたが、その比ではなく当時のtmの社員は35名ほどだった。
が、後で分かったが僅か35名ながらすべてというか経営者自身も過去はライダーであり設計者、技術者、職人、メカニック。
つまり、必要以外の人員はいない。
それは今も同じで現在の人員も工場の規模も当時の数倍ですが今尚、女性社員が一人もいない事でも分かります。そう、事務職もすべて男性と言う会社です。
余談
予想だが女性社員がいたらイタリア人らしく多分、仕事にならない(しない)社員も出るからだと思う。
それはVORに出かけた際、コーヒーの自販機の前で女性社員が休憩をとるとすかさず作業していた男性達がやってきて女性を取り囲む情景をよく目にしました。
おしゃべりはいいから早く仕事しろよ!
と、良く思ったものです。
反面、tmの社員たちは我々日本人からみても信じられない程よく働きます。
与えられた仕事というか、自分の仕事が終わらない限り昼休みどころか夜遅くまで。また、早朝から仕事をしています。更に通常土曜日はお休みですが何人も出社しており仕事しています。きっと、皆“好き者”なのでしょう。
そう言えば初めて訪ねた際当時のマネージャーの言葉。
“他のバイクは4~5レースでオーバーホールなどの手当てが必要だが、tmはそこから始まる”
と、私にエンジンの砂型の説明の合間に言っていました。。
そこで信頼性。
私が携わっていた85から95までの外車は本当によく壊れました。
例えば実際の体験から初めてのKTM(85モデル)は乗るたびにどこか必ず壊れる、かぶる、部品が落ちる。
外車の悪き部分をすべて兼ね備えたとても所有するにあたり“根性”が必要なバイクでしたが、それにもまして乗り味が、性能にぞっこんだったので嫌にはならなかった。
ただ、あまりにもカブリがひどくて販売店に相談すると乗り方が悪いと言われて終わり。して僅か500㎞走行時に今度は焼き付き発生というトドメがやってきた。
最終的にはトラブル続きのバイクを下取りとして同じ年式のバイクを改めて購入。
やってきたマシンはとても同じとは思えない程“まともな機械”でKTMのすばらしさを満喫できました。
その素晴らしさからその後、86年からKTMショップを始めたがトラブルは多かった。
例えば必ず起こるクランクサイドベアリングのブロー、点火系(ジェネレーター)トラブルには泣かされました。して、パワーバルブの脱落、エンジンブロー等々、正直明日の朝まで語れるほどトラブルが多かった。
そう、壊れる部分でいうなら“大当たり”でした。
でも、壊れる部分は人災と言える部分も・・・・。
オイルをほかのブランドに変更したら壊れる頻度は半分とは言いませんが電機以外のエンジン破損が3割くらい減りました。加えて常識違いと走行後のメンテも要因でした。
余談
当方、オイルにうるさい理由になったのも事実。
悪口ではなく事実とは言え他社の話はこのくらいにしたいのですが外車の頻繁なトラブルもそうでしたが当時の売れていた外車も焼き付き100%で部品はない。と、言われていた様です。
その状況でしたからイタリア製のtmはいったいどれだけ壊れる!
と、いう心配は最初からありました。
また、今も言われる“部品はあるのか?大丈夫なのか?”と、いうのも当時の外車の世界では大きな話題でしたので仕方ありませんが、ただ今の部品があるのか?と、当時とでは微妙な違いがありますが。
で、結論から言うと当時の他の輸入車の壊れる度合いから比較すると“tmはトラブルフリー”と、断言できる程に安定していました。
例えば悪名たかいヨーロッパ製イグニションシステムはtmのそれはすでに国産電機と、この部分は解決したも同様。
それにもましてエンジンのしぶとさ、安定感は信じられない程で実際レースに使わない方であれば10年間リングすら交換しない方が沢山。
また、レースは時折って方でも5年以上ピストン交換もされない方が多い。
クランクのサイドベアリング等は壊れたから交換と言う話はあったかのか?記憶がない位。
ただ、見方を変えるなら新車からまったく手つかず状態のマシンもそのまま中古で流通しています。つまり、それだけ丈夫なのですが、だからこそ、オークションは気を付けてください。
そうtmの信頼性の高さは折り紙付き。
実際に30年以上外車に触れて乗っている人が言うのですから間違いはありません。もし、tmは壊れるという方がいるならtmを全く知らない、もしくは素人の方が整備、セッテングしている。社外部品を使っている。
そのどちらか?両方か?
部品は大丈夫か?
今の時代にはそぐわない質問。
例え弊社に在庫が無くとも本国にあります。今の物流を考えるならまず心配する部分ではないでしょう。
まして、弊社にも通常、頻繁に必要になると思われる部品は在庫しております。
じゃ、tmに死角はないのか?改善はないのか?
残念ながらあります。
例えばエンジン、ケースなどが“砂型”の時代はピンホールがまれにあってギャーオイルが漏れたりしました。
ただ、今は金型なのでまずありませんが。
同じ様にシリンダー壁のピンホール。
但し、そのピンホールはtmの基準の中で全く影響がないと本社が判断し使用した物。ですから性能にも耐久性にもフェーリングも問題はありません。
が、だからと日本人から見るとこのような部分は製品管理として褒められません。
我々には中々理解不能ですが“文化、常識の違い”なので改善は簡単ではありません。
そう、穴があったとしても性能にも、信頼性製にも耐久性にも問題が無いので交換とか、クレームを言われるのは理解できない。
また、外装の組付けズレ等も同じです。
そう、これらの問題はその魅力を、性能をスポイルする物ではありません。
ましてインポーターでは対応が出来ない部分です。
このような部分が気になる方は国産車をお選び願います。まして外車は大同小異。
が、しかし、それらをきちんと日本人の好みに、常識に合わせる努力はしております。今回の本社訪問にて通常のビジネスの話に加えてまさしくそのための話し合いを各担当者達としてきました。
その話し合いの中で文化、常識、当たり前の違いを何度も思い知らされますが、反面素直に聞いてくれ、了解してくれたのも確かです。
そう、大事な話が気軽に何時でもできる関係を世代が変わっても継続できているtm。
tm社の人々と良い関係を継続できている。何よりマシンが素晴らしい!
tmでなければならない最大の理由でしょう。