最近の自動車の便利さには驚かされます。
20年以上前から“クルーズ・コントロール”の便利さを享受してきましたが、最近はレーン逸脱警報、誤発進制御とか前走車に追従するだのと、車が勝手に走るというのには少々気持ちが悪いというか、正直本当に必要か?と、思わなくもないが確かに時代はどんどん便利なっていきます。
これから自分も高齢者になりますが、確かに高齢者には助かる装置なのも間違いない。
確かにバックカメラもしくはアラウンドモニター、自動ブレーキ、クルーズ・コントロールは最低欲しい装備ですから。
が、ただ付いているだけ的の安易なABS、横滑り防止装置は勘弁してほしい。
一方でもしバイクというか、エンデューロマシンにそんな装置が付いたら?と、思うとぞっとするのもまた事実。
と、言うのも先日豊平(札幌市)に朝向かいました。すると北広島市からピカピカつるつる状態による渋滞が始まった。
数年に一度経験するか?って具合の全面アイスバーン状態。しかもいつもにまして滑る事、滑る事この上ない。しかも距離が長いっていうか、時間が時間なので溶けてなくなるまでは相当時間がかかります。。
この状況下で出来る事はどこかに避難、溶けるまで走行をやめるか?とにかく自分の前に前走車を置かない。
つまり、車間距離を置くしか方法が無いのですが、南郷通りから豊平に向かう為に白石区民センター前を左折する際、この冬最初の肝を冷やす場面に遭遇。同時に現在の車ならでは不便さを味わった。
ご存知方もおいででしょうが市内に向かう南郷通りから白石区民センターまでは長い下り坂。
勿論、ゆっくり走れば良いのですが、表面が濡れた特別滑るアイスバーン状態ではそのゆっくりも難しい。少しでも速度が速いと曲がれない、止まれない。
一寸でも間違うとABSの出来の悪い車、スタッドレスの状況によっては最悪路肩にぶつけて止めるか、追突するか?のどちらかになったりする。
左折するので片側3車線の内側をゆっくり下っていきました。幸いというか、運悪くというか信号は青。
また、幸いなのは前走車が無かった。
キチンと減速したが(したつもり?)左折に向けてステアリングを切ったが、なんとステアリングが反応しない!
少し左を向いたまま、まっすぐ中央分離帯に向かっていきます。
サイド・ブレーキを引いてと瞬間的に思ったが、この車は足踏み式(しかもスイッチ状態)ですからサイド・ブレーキによって方向は変えられない。
当然、ブレーキなんか踏んだらもっと危険と、とっさにステアリングを切り増してアクセルを踏んだ。
結果的には何とかぎりぎり、どこにもぶつけずに済みましたが、頭の中はバンバー交換っていくら?何て浮かんだ!
この間、多分1秒少々でしょうがtmで野山を駆け巡っているから対応できたのは間違いない。
余談
この車、基本“超アンダーステアー”なの判っていましたが、それにしてもびっくり。また、それぐらい滑る状況でした。
ただ、タイヤだってまだ二年目で大きな摩耗は考えられない。
FWDですからパワースライドも出来ない。もし、RWDだとしてもトラクションコントロールが介入します。
このタイプのサイド・ブレーキは普段の使用なら気にならないがサイド・ブレーキは“ハンドル”で育ってきた我々世代にはこの様な場合は仇になる。
その反面、トラクションコントロールがない場合はアクセルを踏んだ際にホィールスピンを誘発したら?とも思わなくもないが、いずれにしてもウィンカー・スイッチと間違うようなシフト・レバーもそうだが一見便利なようで邪魔な装置が多いのもまた事実。
それをバイクに置き換えると。
山の中でよくあるシーンとして倒木が道路を横切っている。フロントアップで乗り越えましょうとアクセルを開いたらトラクションコントロールが効いてフロントは上がらずそのまま倒木に突っ込んで転倒なんて痛い思いを。また、半クラッチを当てたが反対に失速。
更にはリヤブレーキで方向を変えようとしてもリヤがロックせずに結果、路肩にはみ出た。落ちた!
もし、ダートバイクに装備されたらオイオイって思うような部分も考えられます。
余談
tmのトラクションコントロールは不用意な横滑りを抑制してくれますが、フロントアップといった部分の妨げはない。あくまで乗り手に忠実。
確かにtmの様に良くできた(お金のかかった)装置はデバイスによる不自然さはほとんど感じないのもまた事実。
つまり、時代錯誤と言われようと中途半端な?ついていないと車が売れないからレベルで装備された安物のデバイスなら無い方が良い。
特に安っぽいABS、トラクションコントロール、横滑り防止装置なら要らない。
例えばもうじき二輪車にもABS装備の義務付けとなりますが、例外的にエンデューロ、トライアルバイクは免除されます。と、意外と役人さん(運輸省)も判ってらっしゃる?
滑りやすい路面で特に必要なのは路面情報
特にグリップ感覚を伝えないマシン(バイクも車も)はいくらデバイスが装備されていても安全には走れない。
良いマシンというのはハンドルを、五感を通じて路面状況が判る車でありバイクだと思う。いくら時代が変化しても人間の五感によって操縦する機械なら必要な路面と車体の状況を乗り手にも伝えるのが最高のデバイスでありアシスト。
基本に忠実なマシンはいくら時代が変わってもその価値は不変。
剛性と軽さを持ち合わせたフレーム、高い追従性能と衝撃吸収に優れた高度なサス、ドライバーの思うパワーを生み出すエンジン、コントロール性能と共に絶対的なパワーのブレーキシステムは最低限の装備。
ここまで基本がしっかりして初めてデバイスも生きてきます。
して、低い重心、マス集中に支えられた操縦安定性能無くして安全性は語れない。つまり、愉しいマシンとはならない。
そう結果的にtmって事になってしまうのです。
車もそう。
キチンとしたフレーム(モノコック)、サス、ブレーキを装備していたら下手なデバイスなど最小限で済む。