先日、tmユーザーさんより“こんなものですか”と、ちょっと?というか、答えに困る質問が。
その方は個人売買にて入手されたご様子、つまり、当然弊社はまったく存じ上げないユーザーさん。
とりあえず年式、車体番号を確認すると相当古いモデルだがその質問内容は?
“tmってこんなものですか”っでしたが当方、そのバイクも新車納品後12年の間、確認できなければ、整備もしていない。
ですからお答えできないのですが折角tmを気に入っていただけるようですし、今後の事もあるでしょうと色々お話を聴かせていただいた。
余談
正規の車両なら個人売買も関係なく部品は大丈夫。ただ、当方は状態を把握しておりません。
また、今は弊社のお客様ではないため面識もありませんが何か勘違いされているような話をされる方も時折見受けられます。
すると古いしパワーに物足りないので“ピストンを交換された”が、何も変わらない。と、いうので“こんなものなのか?”と、思われた。
どちらのお店ですか?と、訊ねた。
すると弊社はそのお店にはピストンもそうだが関連部品など販売していないのが発覚。
と、いう事は本当にピストン交換したの?
まさか!一応お店を構えています。そんな詐欺まがいの事はないでしょう。
判んないけど?
もしかして海外通販から取り寄せて組み込んだのかもしれない。
だとしてもtmの場合というか、本物のレーシングマシンはスキッシュ調整、ピストンクリアランス等を管理しないといけません。
125で例えるとピストンサイズ別に5種類。して、スキッシュ、ピストンクリアランスは年式、排気量によって事細かく違う。
それを知らない方でしょうが、そのお店からはそういった質問もなかった。
また、年式によってはヘッドチャンバーにも種類が有ってスキッシュとのマッチングによって更に特性を変化させていた事もある。
して、さらに国によっても違う部品を使用したり、リクエストにて生産したりしていますから使用部品が異なる場合もある。
余談
パーツリストに種類はない。と、感じられるでしょうが指示して生産ですから指示した方が判っています。
例えば初代ピッコロなど電装は勿論一次減速、リンクブッシュ等は通常モデルとはまるで違う部品を使用しています。
しかし、パーツリストにそれは記載されない。
また、例えば現在の日本仕様2Tモデル にはtmオリジナルサイレンサーではなくルックス&パワー重視でHGS(オランダ製の短め)を装備。
ちなみにオリジナルの方がエンジンフィールはスムース、マイルド、フラット。
ですから、特性ちがいを愉しまれる為に別にオリジナルを購入される方もおいでになる。
つまり、そういう事を知らずに組み込むと初期の性能を戻すどころか、最悪はエンジンブローとか、シャーシなら危険にもつながる。
また、一方で“OH済み”という中古車両を購入したが購入後まもなくクランクベアリングが壊れた。と、言う話。
これまた、弊社ではその時期、そのお店にクランクベアリングなど販売していない。
実際にOHはされただろうが使われていたのは社外部品。しかも恐ろしいのはガスケットなど使いまわし。
もし、そのユーザー様の言葉が100%正しいなら、それはもうお店、販売先のモラルの問題。
まして社外品を純正と偽っているなら立派な詐欺。
何度目かの話になりますが。
例えばtm125エンジンに使用されているベアリングはイタリヤ、ドイツ、英国そして日本製と使用部位によってメーカー&生産国違いベアリング使用。
ベアリングは規格品。
だからすべて同じ性能、耐久性なら上記の様に使用部位ごとに違うメーカーや国のベアリングを使用する理由はない。
コスト的に言うとすべてイタリヤ製が優位でしょう。
規格品なら同じメーカーでも大丈夫なはず。
でもtmはよりコストの掛かるにも関わらずサイズ別、使用部位別にメーカーや生産国の違うベアリングを使用。
勿論tmだけではなく日本でもモンキー用チューニング“高速ベアリング”と、言うが有ります。
して高価です。
そのベアリングは純正と同じサイズ、つまり規格品と同じ番号である。
勿論、造りというかリテ―ナー等は見てすぐ違いは判りますが、番号自体は同じ!
これは一体何を意味するか?
例え同じ規格番号であっても中身がというか材質、製造工程、強度、剛性、精度が違う専用品であることを意味し番号は内径、外形、厚み等の取り付けサイズだけ。そう、サイズが同じ、取り付け可能だとしても実はまるで違う物と認識ください。
ですからエンジン内部部品には純正以外のベアリングは使用できない。してはならない理由。
特にtmの様な生粋のレーシングエンジンには。
一方で例えばチェーンローラーのベアリング等は基本規格品でもOKでしょう。厳密には何かあるか?は判りませんが。
耐久性は別にして少なくとも性能には影響はない部位。
余談
パワーが有って回るエンジンには専用の高度なベアリングが必要。してそれを使用しているのがレーシングエンジン。
つまり、言い方を変えるとキャブやスロットルバルブも小さく、回らずパワーがないエンジンには高度な専用ベアリングは必要ない。
早い話、コストダウンされた安物はレーシングを語れない。って、いうかレーシングとして“偽物”とすら言える。
判りやすく例えると画像のベアリングには“TM RACING”と刻印。
つまり、オリジナルベアリング。如何にベアリングに神経を使っているかご理解できるでしょう。
これが大量生産では味わえない好き者には至福とも言えるフィーリングの要でもある。ただ、価格ちがいではなく価格、価値にともなった性能、品質の証明なのです。

勿論、弊社管理、弊社整備では上記の様な事は起こっていませんが、加えてtmはハンドメイド故に同じ年式、機種でも微妙に違う部品の場合が多々あります。
弊社は一応日本仕様というというか、入荷分はそのような仕様とか違いは把握しています。
ですが弊社から一端離れてしまうとユーザーさん、お店がどのように対応されているか判らない。
正直お店を信用する以外ない。
ま、いずれにしても正規の車両であれば部品はお出しできますから何とかなるでしょう。
余談
私事ですが自動車のウィンドーウォッシャー液の話。
外車の場合、純正以外はノズルが詰まる。って話はよくあります。でもディーラーが遠方で面倒とホームセンターの少々高いのでいいだろう。と注入。
幸いノズルはつまらなかった。でもいつまでも警告灯が消えない。
煩わしいからディーラーに持っていくと使用した液が社外撥水タイプ為、センサー異常に。
結果、タンク交換に至った。
安い方が良いのは良く判る。でも、“安物買いの銭失い”になる場合が多いのも事実。
貴方がtm中古車を購入する。整備を依頼する際には大事な部分、部位は純正品を使用していただくようにお店に話してください。
部品なんて社外品でOKだよ。なんてお店は競技用マシンを扱うプロとして論外。
気を付けてください。勿論、どんなバイクも同じです。
PS:勿論、上記の方々には信頼できるお近くのお店を紹介させていただいた。