整備雑感

今年は随分と再生整備がやってきます。

単純なフォークオイル交換とかの整備は少なく全体をくまなく整備してほしい。と、言う依頼が立て続けに入ってくる。

確かにダートバイクは消耗品の塊。

ですから、壊れた部分もそうですが全体に渡って整備してあげるのは望ましいと思います。

して実際部分整備は当然だが車検のように時には全体的に整備を行った方が最終的には正解。

まして、なんども言いますが舗装道路を走る10倍以上の摩耗、損傷がダートバイクは受けます。更にレースはその10倍の消耗、損傷度合いと例えられています。

そして実際に整備していると“確かに!”と思う部分を多々発見します。

 

それは・・。

 今、作業中の08モデルの全体整備をたとえますと。

距離は多くは乗っていないよう。とりあえず試乗すると、特別悪いところはないな~。と、言う印象、しかし、クラッチが切れない、つながりが唐突。

エンジンは調子が良いが、なんかちょっと物足りない。

サスも悪くはないが“タレ気味”かな?と、感じる。

また、外観の見た目もそう。

 

それはユーザーさんが言うように“悪い所、修理すべきところは特に感じないが、経年変化と泥まみれ放置からくる各部のサビ(特にボルトの錆)が目に付きます。

 

特に悪い所はないので、クラッチとサス位でいいかな?他は如何すればよいの?と、訪ねますともう相当古いから水回りの整備をしてほしい。との事で最終的にはエンジンはクラッチの切れと水回り主体、あとは足回り全体を集中的にとの整備依頼となった。

本来はエンジンOHが望ましい時期ですが予算内では腰上、クラッチだけとする。勿論、後は応談。

 

さて、如何するべ~と、今一度、状態を把握する為に林道にて試運転を行った。

すると、前回と同じく特別傷んではいないが、全体に緩いというか、tm本来の味が薄らいでいます。

エンジンには異音もないしパワーも良いので足回り主体にて整備を開始。

 

前後ハブシール、カラーの摩耗が顕著なのでベアリングを含めて交換。

また、ステムを分解チェックしているとユーザーさんがやってきて“無条件交換”となった。

 

しかし、問題はベアリング自体には酷いサビは見当たらないがステムシャフトとベアリングが完全に錆び固着しており、なんとベアリングプラーが壊れてしまった。(泣)

 

仕方なくシャフトを抜くにプレスを試みるもこれまた“びくともしない”

熱を当てるにもフォーククランプはアルミ(しかもアルマイト加工)ですから十分には熱を当てる事は出来ない。

仕方なくベアリングを壊したが、それでもベアリングのカラーは抜けずに最終的にはサンダーにてカラーを削り取りますがステム自体にも錆による浸食がひどく固着というか癒着。結果、ステムにも傷を入れなければ抜けない事になったのでステムシャフトまで交換という大事に。

 

また、リンクである。

スイングアームの先端をもってガタツキをチェックするもほとんど感じないが、動きが重く違和感がある。

最低グリスの入れ替えはありますから、分解してみると。

ニードルケージは洗浄しても針も抜けて来ず、見た目もきれいに見える。しかし、ニードルケージに挿入されるブッシュすべてに傷、摩耗そして腐食の始まり痕が有ります。もったいないような気もしますがすべて交換しましょう。

 

サスも前後OH。

Rは通常の洗浄とガス、オイル交換でOK。フォークもフルードとオイルシール交換と実に平和な作業で終了。

 

さて、クラッチの切れの悪さを確認するに開けてみるとプレートが全体に錆びている。

理由は不明だがミッション内部に水分が入ったのであろう。そう言えば抜いたミッションオイルもひどくはないが白濁していた。幸いにもミッションからは異音は感じない。

北海道の場合は冬の間は乗りませんから、水分が混ざったオイルだとちょっと怖いですね。

 

 

して一応の確認にシリンダーを開けると意外にもピストンに大きくはないがちょっと摩耗(傷)が有る。

シリンダーはOKで予算の関係とパワーに問題、異音もないのでこれからの使用状況からリング交換のみにとどめた。

 

パワー、リードヴァルブは良い状態であったので清掃、ガスケット交換にて終了。

 

して、ユーザーさんの最大の心配事である水回り。

依頼からW/Pシール、ベアリング、シャフトは交換します。

また、劣化がみられるウォーターホースも交換した。

 

最後に先に述べたボルトのサビです。

特にローター取り付けボルト、クランプ取り付けボルトなどアルミとの組み合わせに使用するボルトで錆びているものは後々大変になる場合が多いので交換する事にしています。ボルトが入る相手を痛めますからケチってはダメです。して乗っても、乗らなくともサビはあちこちに発生します。

 

と、ダートバイクは痛みます。

無論、工賃、部品代は掛かりますが、この整備内容なら部品はすべて弊社にて在庫がありますから整備時間は最小限でOKですから、その意味では節約可能。

 

 ダートバイクを中古車購入するなら高価でも整備済みを選ぶか?それとも整備覚悟で格安を選ぶ二つに一つになります。

 

高価しかも整備にお金のかかる素性不明の中古はやめましょう。

そう消耗品の塊なのがダートバイクなのですから。