ランニング・イン

良く言われる一般的な慣らし運転の必要性ではなく、マシンがそのマシンらしく走るには一体どのくらいの時間が必要なのか?
また、その“美味しい時間”は続くのか?と、言うお話。

先日、tm16モデルユーザーさんから連絡。
それは、納品以来セッテング等について悩まれ、随分相談を受けましたが、走る環境、場所も違って中々ピンポイントにアドヴァイスが出来ていなかったようですが、先の連絡は“やっとtmがわかりました!本当に素晴らしいマシンです“という報告を頂いた。

 

さて、その内容から“コース、林道を1000㎞以上走ってやっとサスが馴染み本来のtmを知っていただけたのが判りました。


以前からその方も、また多くの方が言われるように“サスがかたい”と、tmを評価されていました。
しかし、1000㎞以上走り込んでtmのサスの本来を見出せた。

つまり、走り込みが、慣らしが足りない状態でアレコレ触られていたから余計見失っていた。


 しかし、“標準状態の試乗車”に乗られた後に突然クリアーになった様です。

正直言って私自身“サスがかたい”等の不満は感じた事はありません。と、いうかピシッとしているのが当たり前ですから“かたい”と言われても“そうかな~”程度の認識しかなかった。


理由は。
“デブだから”。と、ご指摘されるならごもっともな話ですが、繰り返しますがtmは世界の頂点に立つライダーが、世界選手権で勝利できるマシンです。


しかも、そのマシンは貴方が入手できるtmと何も変わらないマシンなのです。(日本入荷仕様)
つまり、私の体重が重い、軽い以前に走るスピードレンジが世界の頂点のライダー、コースに対応できるのがtm。


つまり、私レベルであれば“かたい”のは当たり前ですがウソも隠しもなく“良いな~”と、は思っても不満は感じない。

それどころかため息の領域にいざなってくれる。


ただ、当初は“当たりが出ていない為、動きに渋さを感じます。”
新車ですから当然ですが、もしかしたらその部分で皆さん感じられ、言われるのかも知れません。


余談
皆さんにお乗りいただく弊社試乗車はtm社のセッテングのまま。

サスペンションもエンジンも基本ダンピング調整、マップやキャブ調整等変更していない。


もし、必要を感じたとしてもRショックの伸びダンパーを1~2クリック強めるだけでOKと感じる。
125/144では車重の関係からフォークの動きに渋さが強い場合は圧ダンパー調整をしますが後日、標準として基本は何もしない。

 

重要な部分として新車時の組み立て方。
本社にて完成後全負荷にて走行テストを経てきます。その後、分解して箱に梱包されてきます。
この状態から弊社ではステアリングヘッド、リンクに注油。本社組み立て時と同じグリスを追加注入塗布しています。

ちなみにベルレイ耐水グリス。


また、フォークのダストシールを浮かせて、古いグリス、汚れをきれいにふき取ってオメガ77を塗付して組み付けと、たったこれだけですが、後々これを行うと、行わないでは大きい違いになる様です。


多分、多くのお店から購入されたとしても納車整備の際には同じ作業はされていると思いますが、ステアリングが重いなんて感じる場合、確認が必要になります。


ただ、この“重い”という印象はとてつもなくマイナスの印象になる。

なによりtmのフィールを阻害する。

 

さて、経験豊富で優秀なライダーは10m、100m程度走っただけでもそのマシンの素性の大半は判る物です。

もし違和感を覚えてもそれがマシンの持ち味なのか?単なる調整で修正可能なのか?も、判断は瞬時につきます。
この様なライダーは例えポジションが合わなくとも、サスの状態が固かろうとそういう部分で評価はしない。


何故なら、その程度の事は如何にでもなるからです。


余談
日本はこの部分を平気で評価します。

何やら“俺様が乗ってやっている!”と、勘違いされているのかと、感じます。また、雑誌は利害と利権にまみれた提灯記事ばかり。

 

また、仕事に誇りを持っている優秀なメカは音を聞いた瞬間にマシンの状態が判る。

更に乗った瞬間にマシンの異常も判ります。
だから、店主、スタッフがそのマシンに乗らないお店でのマニアチックなマシン、レーサーの購入は避けるべき。と、言う事になる。

 

更に市販状態と異なる試乗車?を用意するというのはそのマシンを、そのマシンの使用目的も理解していない。

また、試乗会に来た人を大事に思っていない。


まして単にサスをソフトに、マッピングを薄いセッテングにするなどは完全に馬鹿にしている。いや、それすら判っていないのかもしれませんが。


エンデューロは長距離を走ります。

しかも未知の路面です。

ですから100%完璧なセッテングは不可能。

不得手な部分をカバーするセッテングか、得意な部分を伸ばすセッテングにするかはライダーの好み次第。

 

何やら話がずれましたが。
先の方が言うには様々なセッテングを試した。でも“かたい”。
また、林道、コース共に上手く走れない。

走り方が判らなかった。

 

でも、標準状態の試乗車に乗って全く“かたさ”を感じない。

そこで自分のマシンを標準状態に戻した所、試乗車と同じフィールでびっくりするくらい走れる。それどころか動きがとてもスムースでコースによってはダンピングを強めて走れるようになる。

 

と、言った内容でしたが、実は新車時のあたりが出ていないにも関わらずダンパーを調整し、必要以上に弱めてしまった。

しかも多くの方はFが弱く、Rはそのままですからバランスはチグハグ。しかし、走行が進むにつれて機械に当たりが出てきても“かたい”と思い込んでいます。

結果、更にバランスが狂い判らない、混乱状態に至るのでは?と、推察されます。


しかし、ランイング・イン、つまり走り込みが進み初期の渋み等が解消されたtmのサスペンションは素晴らしいフィールを見せてくれる。

つまり、自分自身でバランスを狂わせていることに気が付くのです。

同時に標準状態が如何に的を得ているかが判るのです。


この部分もtmはライダーを育てるマシン。と、言える具体的な例えだと思います。


余談
悩んだときは標準状態にするのがセオリー。
確かに体重が軽い場合などスプリングの変更は必要になります。しかし、tmのサスペンションに本来リバルビング等チューニングの必要ない。

ましてtmを知らない、乗ったこともない所がチューンなどそれこそNO WAY!

サス交換?あり得ない!

 

セッテングがでない。サスが硬いと思われる方には闇雲にサス屋さんにチューンを依頼する前に、ソフトなオイルやスプリングと交換する前に正しいメンテナンス。


そしてtmの本質を、良さを味わえた時に初めてあなたに合った走り、使い方に合うセットアップの方向が見えるでしょう。

 

最後にランニング・インとか慣らし運転というのは乗り手と機械のお互いを知る上での蜜月の時間でもあるはずです。


また、性能発揮に、ランニング・インに時間がかかるというのは、中々“タレない”証明でもあるです。