気が付くと与太話へと題名は変わりましたがコラム自体16年以上継続してきました。
純粋に自分でも“よくもマー”って感じながら、以前は結構ご意見もいただきましたが今は殆どなく昔ほどの人気が無くなって来たな~って感じなのは現実。

最も昨今はバイクネタが少なくなりました。最大の原因は自分が乗る機会が減ったためもあるでしょう。昔のよもやま話を読んで反省しています。
また、偶々出てきたよもやま話の一部が出てきて読み返すと手前みそながら“オモシロい”
さらに内容が技術的と言うかバイクの話が多い為もあってか、当時試乗会に出かけたらすべて印刷されて保存されている。。
と、そのまるで本の様になった物を大事に保存されている方もおいでになった。(感謝!)
そこで、ちょっと最新技術というか、未だにtmだけの先進技術の話をしましょう。
さて、tm2TはMXもENも、そして125以上のマシンには現在T.M.E.E.S.(tm electric exhaust system)が採用されているのはご存じでしょう。
それは2012年モデル125に初搭載されましたが初めてT.M.E.E.S.が搭載されたマシンに乗って当時はかなりの衝撃を受けたのを今尚鮮明に思い出せます。
それは入荷時期の関係で試乗出来たのが“雪の中”だったからこそ余計感じた衝撃とも言えます。理由は路面がとても滑りやすいからです。
そのT.M.E.E.S.搭載の125は圧雪に積もった新雪の中、まるで何事もないように“スルスル” と表現できるほど簡単に、まるで土の上と判らない様に走り出したのです。
また、スロットルワークに応じてスムーズに、しかも急加速も出来るほどの安定したトラクションを雪の中で感じたのです。それは今までにない、経験したことのないフィールでしたから余計印象に残っています。
通常、雪道のような滑りやすい路面では一般的な2Tならパワーバルブが開くのが判ります。特に出来の悪い2Tならいきなりホィールスピンしたり、横を向いたりしますがtm125はあくまで真直ぐ加速して見せた。
これはフレームの優れているtmはT.M.E.E.S.が搭載されていなくとも当たり前なのですがとても滑りやすい中にて加速途中でも姿勢が崩れない。
しかも一速高めも自在に深い雪の中(積雪20cm+)で自在にスロットルワークに応じて反応、走破してみせた。
当然、雪道という状況が状況ですから速度は低いのですが、如何に力の出方が滑らかなのかが判ります。
このスムースなトラクションがT.M.E.E.S.ならではのマナーだったのです。
“ガバナー式”の排気バルブシステムですと排気バルブが開く過程が急な為にパワーが唐突に発生します。
つまり、雪という低い摩擦係数の路面ではホィールスピンを簡単に誘発しますからスロットルコントロールがとても難しくなります。
更に特筆したいのはアイドリングの安定感です。
始動直後チョークを戻しますが、安定してポロポロといつまでも回っています。全くストールする気配がありません。しかも冬の北海道ですから限りなく氷点下の状況です。
当然、そのまま長時間のアイドルはカブルでしょうが、このアイドルの安定感も衝撃的に感じました。
しかし、一つだけ違和感を感じたのが排気音です。
まったく125とは思わせない低くそして迫力を感じさせますが“静か”すぎで少々物足りなくも感じました。
本当に2T125?そしてtmって?くらいに低く、静かでした。これはバルブシステムの変更から変化したのでしょう。
T.M.E.E.S.によって得たのはフラットトルクと安定したトラクション。
最大トルク自体は従来とはそれほど変わりませんが、その発生するトルクカーブがとても広く、低回転から高回転まで実にフラットなトルクを発生させたのです。
余談
今から四半世紀ほど前の話ですが、当時のワークスマシンのチューンのお約束だったのが排気バルブの作動タイミングを遅らせるという物でした。他にもありますが今は排気バルブに絞っての話です。
それは。
当時はガバナー式ゆえのある回転に達するとガバナーが作動して一気に全開状態になりますが、そのバルブの動きを制御するスプリング(バルブが設計予定回転まで開くのを抑えるスプリング)を強くして少しそのタイミングを遅らせたり、バルブの開く過程の速度(全開までの時間)を制御する為にスプリングを強化していました。
結果、トルクバンドが広くなります。
余談の余談
でも、先日の試乗会でとある国産車が未だにこの手法で“チューン?”しているとの話を聞きましてtm以外の2Tは進化していない、全く変わっていないのにも驚きました。
T.M.E.E.S.はバルブの開くタイミング、速度を電子的にコントロールされたモーターと現在のデジタル技術によって制御しています。
つまり、その制御方法にてバルブの動きがとても緻密、綿密という事になります。
ですからtmの昔からの美点であるスムース&滑らかな回転、際限なく回る高回転にフラットなトルクカーブがプラス。
加えて電子制御にてとても安定しています。
結果、とても太いトルク(加速)を長い間感じられます。
また余談
未だにスロットルをいきなり開ける方、開け過ぎる方を多く見受けられますが是非TMEESに乗る機会があるなら“少ない+ゆっくり”としたスロットルワークでご確認ください。
そこには驚愕の世界があります。貴方の知らないなめらかで粘り強い低速から中速をご確認できます。
tmは高回転だけではないのです。
確かに高回転のパワーが大きい為に“ピーキー”と勘違いされているようですが、このフラットトルク+粘りがあって初めて高回転パワーを実現。
また、T.M.E.E.S.にて変わったのがキャブレターセッテングです。
例えば今年125のメインジェットは標準で185。
144は188。
パイロットが50と250並みの大きさです。
また、ガバナー時代からはパイロットで5、メインで10番ほど濃いセッテングになりました。つまり、濃いというだけでもトルクが増します。また、パワーの証拠でもあるでしょう。
キャブレター自体はPWK38(125~300)共通ですから、そのレーサーぶりが伝わってきます。
余談
今年の125のピックアップと言うかスロットルレスポンスがすごいんです。
とってもレーシーで気持ちが良い。毎年最新鋭のtmに20年以上乗っている自分が言うのですから間違いありません。
速いのも大事ですが間違いなくハイレスポンスの面白さに感動します。
長くなりますので144のT.M.E.E.S.のお話は次回に。