何度目かのマンマ・ミーア

恵庭エンデューロに参加される方よりマシンチェックの依頼。
本人さんはエンジンのオーバーホールを予定していたみたいですが試運転するとエンジンにはすぐにオーバーホールと言った整備が必要な部分はない。ただエンジンよりサスペンションに違和感というか、逃げる、接地感が無い感覚が付きまとう。また、押してみると初期は渋く、動かないが中間域はフニャフニャな感じである。

サスペンションでこの様な感覚は“壊れている”と、表現できる。勿論、tmのサスペンションでは感じた事などない。
手入れが悪いのかと思い本人さんにそれを指摘&確認すると“逃げる感じ”は、意識されていたようです。


まず、レースに出るならエンジンよりサスペンションでしょうと、サスのオーバーホールを進めると何やらモジモジされている。

モジモジの原因はすでにシール交換も含めてサスペンションはOH済みであるとの事。

ただ、そのシールは社外部品、しかも他店での手当てという事で弊社に“言いにくかった”様です。


それに加えてウェットスーツの素材みたいなものでフォークインナーとダストシール部をカバーと言うか囲ってありましたが、果たしてこれらが動きの悪さの原因なのか?は、不明ですがオイル漏れ等はないが当社でサービスさせていただく以上純正部品以外の使用は出来ないので了解を得て純正に戻す事に。


勿論、純正部品に交換、試乗後は先の変な動き等は全くなくなった。当然、フロントが逃げる症状も解消し、tmらしいフィールになったのは言うまでもありません。


さて画像は純正のオイルシールです。
リップの間にグリスが充填されているのが確認出来ると思います。他のメーカーのシールは判りませんが、この処置はメーカーが必要と考えた必然であり、その理由もある。


しかし、装着されていた社外部品には新品でもグリスは充填されていません。また、材質もシリコン系?なのか?着色されています。ま、材質も違うという事でしょう。

つまり、純正部品とは全く違う物。


さて、マルゾッキと言うメーカーのサスペンションとは丁度30年、MIRフォーク以来付き合っていますが随分シールにこだわりを持っているメーカーと言う認識を持っています。

例えば先のMIRがベースだった名機と評判が高い“マルゾッキマグナム”正立フォークです。


90年代の主流ともいえるフォークとして古くからエンデューロマシンをご存じの方には知らない方はいない程有名なフォークです。


その動き、性能、フィール、実際のタイム等何から何まで当時としては超一級品故にそれこそ全てのエンデューロマシンに採用、装備されていた。と、言っても過言ではありませんでした。
同時にそれぞれの車両メーカー別に仕様、装備が異なっていました。


それは主に車両メーカーの要求性能とコスト要求から。もっともインナーチューブのメッキの厚みに違いがあったくらいですから装備違いの中に“オイルシール”も当然でした。

 

例えば厚み8.5mmと11mm。同じ黒いゴムでしたが材質違い、テンション違い等など。

 

また、当時でもすでにシリコン系の青く着色された物、バックアップ(サポート)リングのデザイン等と、随分各車両メーカー、また年式によってその姿、材質等変化、変更を受けてきました。


何故か?
それはフィールと性能向上もそうですが、マグナムの唯一の欠点だった“シールの寿命”に対するメーカーの対応でもあったのです。(と、感じています)

 

して今のマルゾッキの純正シールにはグリスが封入。
それは長い時間の潤滑、動きの良さの確保、サービス時のシール保護、装着時の潤滑としての役目を担っているのでしょう。


つまり、メーカー自体がシールにこだわっている。
言い方を変えるならそれくらい大事なのがオイルシールという事です。当然、グリスの有無もそうだが材質違いも考えられている。

 

さて、tmと言うのは基本最初から“レーサー”ですからサスペンションは勿論ビス一本まですべて“レース仕様”と、言って過言ではありません。

 

だから改造なしで即実践可能であり、世界のトップライダーが乗って勝利できる性能を実現している数少ない市販車と何度も紹介してきました。

 

ですから一般市販車両、トレール用では性能向上が可能なアクセサリー、社外部品だとしてもtmにとっては当てはまらない。
それどころか“性能をスポイル”“フィーリング悪化”“寿命が短い”と、認識できたものばかりです。
もしくは、何も変わらない。
早い話、tm社が使用している部品以外を装着すると良くなるどころか、悪くなる。それは例えオーリング一個、オイルシール一個でも、です。

 

余談
数年前、本社を訪ねたら今回装着されていた物と同じシールを見つけた。

基本私も新しい物好きの好き者ですから早速、これ良いのか?と、確認したら首を横に振られた。


それでも一応、一組は持ち帰って見ることにしたが、結局いまだに販売することもできず、また自分が使用することもできずに部品庫のお荷物となっている。

 

tmと言うメーカーは性能、フィール、タイム向上の為に現場では様々な部品も含めてテストを行っています。結果、もしその部品が純正より良ければ、タイムが出るならtm純正部品として部品番号が付きます。が、今まで見たことはない。

 

先のtmに社外のオイルシール+ダストブーツ装備=動き、追従性が悪く結果、操安性に問題発生。


 純正に戻すと、上記の異常は解消。これ、紛れもない現実であり、事実です。他にも原因は考えられるが事実です。

つまり、tmには純正部品が最高であって社外部品にて性能が向上するバイクではない。


高度なレーサーには無意味どころか性能をスポイルする場合もありうる事を認識ください。

と、マルゾッキを例えて純正部品の使用を推奨してきましたが、なんと“そのマルゾッキ社”が、今年一杯でクローズされるとの情報がこの与太話を書いている最中に入って来ました。

 

全くなんていうか?ですが、この世界、一生懸命になればなる程“馬鹿を見る”というか“がっかりする”世界ですから、closeと、言うのはマルゾッキ社も“がっかり”が積み重なったのかな。もしかして!

 

ただ、Close という表現なので倒産とは違うのか等、詳しい事は判りませんがマルゾッキほどの歴史もあって良い商品(技術)を持っているメーカーですから倒産としても投資家等はすぐに見つかるでしょう。
が、いずれにしてもマンマ・ミーヤ状態。